2021年、あっという間でした。
今年も多くの方々にお世話になりました、ありがとうございます。
コロナで外出したり飲み会したりといった人と関わる頻度が減り、なんとなく気持ちが2019年あたりに取り残されたままだけど、2021年も無事あっという間に通り過ぎてしまった。
今年は学生最後の一年ということで、人生に影響を与えるような大きめのイベントがいくつかあった。
あと、研究経験も修士入学から数えて5年目ということで、分野の中では無名の新人から駆け出し研究者くらいのポジションにレベルアップしたかなと言うイベントもちらほら出てきた。
今年のまとめとして、いくつか項目を分けて書き留めます。
博士号が見えてきた
今年いちばん気を揉んでいたのが「無事3年で博士を取れるだろうか」ということ。
うちの大学では博士論文を書く条件として、査読付き国際会議相当の論文が2本必要になってる。
昨年までに査読付き論文を1本持ってたので、今年中にもう1本通せるかどうかが非常にやきもきするポイントだった。
というのも、査読は「ガチャ」と呼ばれることもあるくらいに運が絡むので、どんなに上手に書いても運が悪ければ不採択となってしまうため。
しっかり書けば書くほどに採択確率は上がるけど、そうは言っても上限50%くらいの確率だと思ってるので、今年の前半は神に祈りつつ胃が痛い思いをしてた。
結局、5月頃に無事論文が採択され、博士論文を書く権利を得ることが出来た。
実は今回の論文もまた、メインの国際会議で発表枠をもらえない少し悔しい枠での採択だった(一つ前の論文も、この枠ですごく悔しかった)。
もし時間的に余裕があれば、論文を引き下げて再度ブラッシュアップしたものを出し直したかったんだけど、そうはいかないのが学生のつらいところ。
ここで出し直すと、標準年数(3年)での修了が怪しくなってくるので、泣く泣く今回もこの枠で採択を受け入れることにした。
まあ、発展の流れが早い分野なので、さっさと論文を公開してしまうほうが身のためでもある。
その後も、論文誌に採択されたりと、博士課程での仕事がほとんど世に出ることになって、あらかた片付けは終わったかなという感じ。
そんなこんなで、今年の後半は博論を書き、年末に審査員の先生方に提出するまでに至った。
あとは来年の1月、2月で審査を乗り切れば、やっと博士号に手が届くことになる。
最終的な業績を眺めれば、めちゃくちゃ強い博士学生には成れなかったけど、まあそこそこ適度に妥協して出せるものを出したんじゃなかろうか、という結果になった。
自分一人ではここまで頑張れなかったので、共著のみなさまには本当に感謝してます。
あとは博論として話をしっかりまとめて、次のステップに進めるように頑張ろう。
無事終了できたら、色々溜め込んだよしなしごとをまとめて、ブログかどこかに書いておこう。
就活をした
仮に博士が取れたとしても取れなかったとしても、博士課程は3年で終わらせるつもりだった。
なので、来年の4月以降に身を置く場所探し(就活)も今年の前半の大仕事だった。
といっても、いくつか就活を相談させてもらった企業のうちのひとつからスルッと内定が出たので、特に苦労すること無く就活は終わった。
就活をするに当たって、自分がどういうスタイルで働きたいかとか、どれくらいの待遇を望んでるか、将来的にどうなりたいかとかをよく見つめるいい機会が得られた。
例えば、研究を続けたいけどポスドクはやりたくないとか、企業には行きたいけどエンジニアにはなりたくないとか、そういう方針を見つめ直す事ができた。
希望としては、国内の大企業を一度経験してみたいという思いが強く、そうした企業を中心に話を訊いて回った。
ベンチャーとか外資のほうが目先の賃金が高くて心が揺れたけど、五年後に得してるのはどっちだろうとか、居心地は良いのはどっちだろうとか、自由がきくのはどっちだろうとか、色々考えて結論を出した。
結局、国内企業の研究職の椅子を得られたので、来年度からはそこでいろいろやろうと思う。
研究分野との関わりは持ち続けたいけど、アカデミアには残りたくない、でも自分で研究もしたい、という面倒な要望を受け入れてくれる場所だと思うので、五年くらいはちゃんと働いて色々勉強しようと思う。
研究費がとれた
今年のビッグイベントの一つはこれだとおもう。
僕は学振DCで三振(優秀な博士課程学生が取れる国の奨学金+研究費みたいなやつで、M2、D1、D2で合計3回応募でき、僕は3敗)してて、研究費を取るセンスがないわあ〜としっかり諦めがついてた。
ただ、もしかしたら学振じゃなければ通るかもなあ〜ということで、別の研究費(こちらは学生限定ではない)に申請書を出してみたら、そちらが案外すんなり通った。
これが落ちてたら、もう全てを諦めてエンジニアにでもなるかと思ってたけど、採択してもらったおかげで研究を続けるモチベーションができた。
なにより、初めて研究者として国に認めてもらった感じがあり、自尊心の回復効果があった。
研究費のおかげで、言語学の高い書籍とか、実験機器を揃えられるようになって、とても助かっている。
もちろんこれまでも所属研究室の研究費で本を買ってもらったりしてたけど、自分の将来的な(ニッチな)研究のためだけにお金を使えるというのは、かなり心持ちが違う。
これまでは所属研究室にぶら下がってる学生という感覚だったけど、自分の研究のために使えるお金を持って初めて、ひとりの研究者としての自覚を持てた気がする。
今後は企業に所属するけど、研究費を個人で取れる企業なので、これからも申請書をちまちま書いて、国に貢献できる研究者としてほそぼそと仕事をしていきたい。
査読が回ってくるようになった
査読付き論文が2本通ったあたりから、国際会議の査読依頼がちょこちょこ届くようになった。
もちろん、まだ学生だし経験も浅いので、比較的査読しやすい論文が回ってきてると思うんだけど、査読を通して分野に微力ながら貢献してるという実感がわき始めた。
博士課程学生の査読は気合が入りすぎてたり、視野がまだ狭かったりする関係で、一般的に厳しい評価をつけがちと言われている。
例えば、他の査読者が「まあええんちゃう」と言う論文に対して「〜が議論されてない!リジェクトだ!」みたいな過激な態度を取ることが多いと言われている。
いざ自分で査読をしてみると、たしかにこういう噂はほんとうで、厳しい評価をつけがちだなと思った。
自分自身、あまりにも意地悪な査読で苦しんだことがあるので、自分で査読をつけるときも「さすがにちょっと指摘が細かすぎない?」みたいな視点でレビューを見直すようにしてる。
それでもなお厳しくつけがちなのかもしれないけど、こればかりは経験を積んで心に余裕が生まれないとどうにもならないと思う。要練習。
査読をすることで、採択済みの良い論文だけではなく、悪い論文の例も見れるようになった。
おかげで、パラグラフ・ライティングとかのメタな執筆スキルが少し上がったと思う。
こういう経験をすると、修士とかの学生でも年に一回くらいは査読フォーマットを全部埋めてみる、みたいな練習をしてもいいのかなと思った。
自分の論文がどういう視点で査読者に読まれてるのかは、知っておいて損はない。
ただ、自分の修士時代を振り返ると、修士とかの学生だとまだ知識や研究経験が十分じゃないし、やったところで難しいかもなとも思う。
国際会議の査読って結構いい加減なんだなと思うこともしばしばあった。
僕の居る分野では他の査読者のレビューを読むことができるんだけど、「え?本当に論文読んでる?」みたいなコメントがついてたり、「え?一文だけ?」みたいなレビューを見かけることが結構頻繁にある。
あまりにも微妙なレビューがついてると論文投稿者が可哀想になったりもするけど、自分もヤバい査読者の一人と思われてるのかもしれないな。
論文を投稿する側としては、僕は批判的・好意的どちらであってもたくさんレビューコメントを書いてくれる査読者が好きなので、自分もできるだけいい点と悪い点をたくさん書いて、悪い点は直し方のサジェストも含めて書くように心がけてる(いざやってみると、いい点をたくさん書くのがとても難しい!)。
年齢が上がって仕事が増えると、こういう丁寧なレビューをするのも難しくなると思うし、できるうちにたくさん分野に貢献したい。
引っ越しをした
ひっこしをした。
以前はそこそこ栄えていて、そこそこ大学にも近い駅の近くにワンルームを借りていた。
ただ、ワンルームで部屋が狭い、三点式ユニットバス(風呂トイレが別じゃない)、激狭キッチン、隣のいびきが聞こえるくらいの壁の薄さ、同じ階の住人の民度の低さなどが我慢しきれず、引っ越しに至った。
特に部屋が狭いのと壁が薄いのがあまりにもストレスフルだった。
部屋が狭すぎて、つかれた〜となっても部屋の中をウロウロすることもできない。
僕は考え事をしながらウロウロ歩くタイプなので、これはかなりしんどかった。
壁が薄いのもリモートワークでは致命的だった。
隣の部屋のお兄さんも部屋でリモート会議をしてたんだけど、議論が白熱して声が大きくなってくると、社名とか案件名、金額とかが全部こちらに聞こえてしまっていた。
ということは、こちらで話してる内容も隣に聞こえてる可能性があり、とても危険だなと思った。
来年は企業に就職するし、情報の管理はますますしっかりやらないといけない。
そういった点でも、多少まともな部屋に引っ越す必要があった。
(あと、夜中にアホみたいな大声で喧嘩して、ドアを蹴り飛ばしたりしてるゴリラが同じ階に住んでたのもしんどかった)
家賃などいろいろ勘案した結果、大学から遠くなり、比較的栄えていない駅から少し歩いた場所にあるアパートの一室へと引っ越した。
1DKで、ダイニングに仕事用デスクを置くと仕事環境と寝室を分けられるし、壁もちゃんと分厚いし、バイクも置けるし、良い選択だったと思う。
あと、トイレ風呂洗面所がすべて独立したのも嬉しい。
風呂が若干狭く、追い焚き機能もないというのが欠点だけど、まあ完璧な家に住むと向上心が損なわれるので、これくらいでよかろう。
次は二年後に、社会人として多少安定してから引っ越すかを考えよう。
寝室とダイニングキッチンはパーティションで仕切るタイプの家なので、家にいないときは全部開放してルンバを放してる。
おかげで床の掃除は週1でクイックルワイパーをちゃちゃっとかけるだけでよく、水回りの掃除などに時間を使えている。
引っ越してから半年くらい、ちゃんと水回りの掃除を続けられているので、丁寧な生活ができてると思う。
30歳に向けて
僕は今年で27歳になる代(正確には早生まれなのでまだ26歳)。
27は、博士が取れるかもしれない年齢(あるいは修士卒で就職した場合は社会人3年目)として、ここ五年くらいで一つのマイルストーンにしてた年齢。
次は社会人3年目になる30歳を次のチェックポイントに見据えて、どういう大人になりたいか、どういう仕事をしていたいか、どういう場所に住んでいたいか、何をしていたいか、じっくり考えて行動指針を作っていこう。
今後ともどうぞよろしくおねがいします。良いお年を。
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