年度の境目。
大学院を卒業して、社会人になって、一年が経った。
ファーストキャリアとしてこの会社を選んだのは、まあまあ正解だったんじゃなかろうか。
卒業してそのままポスドクとかのアカデミアポジションに入るのは、少し抵抗があった。
というのも、本当に自分はこのまま会社という存在を知らなくて良いのか?とか、アカデミアだけに選択肢を絞っていいのか?とか、色々思うところがあり。
なんやかんやで結局会社に入って研究をしてみたけど、これまたずいぶんとアカデミアと色が違って楽しくなかった。
楽しくないというのは、経験として重要だと思うし、得られたものの大きさとしては十分だと思う。
めちゃくちゃ良かった点としては、精神衛生の回復という部分。
学生の頃は本当に締め切りと卒業要件のストレスに苦しんでいて(学生だった当時は別にそう思ってなかったけど)、土日に休むと焦燥感に駆られてもっとストレスが溜まる悪循環に入ってた。
会社に入ってからは、良くも悪くも休日に仕事しなくなり、ずいぶん気が楽になった。
最近は逆に、もうちょっと土日に仕事してもいいかなという感じになってきて、うまいことバランスが取れてきた。
有休もちゃんととって、休みの日に連絡が来ても「知らんがな」と無視できるくらいに会社員としての心持を確立できた。
たぶん、これはアカデミアに直行してたら、自分の性格的に獲得できていなかったと思う。
色んな方向から次のキャリアについてお誘いをもらってるので、いつでも辞めてやるからな、という気持ちで働いてるのが精神的な負荷を下げてるんだと思う。
会社の仕事が楽しいかと言われればNOなんだけど、こういう会社員としての生き方を身に着けられたという点では、この会社を選んでよかったと思ってる。
いつまでいるか分からないけど、まあ、3年くらいはいても良い。
それ以降は、その時の会社の風向き次第かな。
卒業した研究室の送別会に、OBとして参加した。
あと二年くらいは、自分と一緒に戦ってきた博士課程の学生が卒業するので、参加しても許されるかなと思ってる。
それ以降は、なんかよく知らんけど来るおじさん、という立場になってしまうので、参加を控えようかな。
やっぱり大学にいる人たちと話すと、アカデミアに戻りたい気持ちが強くなる。
企業で研究できるような器じゃないというのを、この一年でひしひしと感じたし、今後絶対に大学に戻るからなという気持ちも強くなってる。
先日の学会参加でもその気持ちが強くなっていて、じっくり作戦を練って動いていこうという気持ち。
りんなが顔出しした。
びっくりした。
りんな(初期はマイクロソフトから発表されていた)が出てきた2015年といえば、自分がちょうど今の分野(自然言語処理)に狙いを定めたころ。
学部三年生の時、まさに、りんなのようなbotを見て、この分野楽しそう!と心を決めたのをよく覚えている。
あれからずいぶん時がたって、りんなが新しいスタイルに舵を切った。
その間に僕は文系の学部を卒業して、理転して、修士を取って、博士を取ってしまった。
あまりにも時間が経つのが早いし、技術が発展するのも早い。
僕が書いた論文も、僕が読んだ論文も、どんどん太古の技術に向かいつつある。
botという存在は、今の僕を作った重要な要素の一つ、あるいは二つ以上で、今回のりんなの一件をきっかけにいろんなことを思い出していた。
気持ちが残っているうちに、過去出会ったすべてのbotに対する感謝ポエムを記事に残しておきたい。
ちかいうちに。
修士課程の頃、習っていた教授が「まさかニューラルネットワークがこんなに流行ると思わなかった」と言っていた。
いま、「ChatGPTがまさかこんなに流行るとは思わなかった」と思ってる自分がいる。
自分が活きている間に、あと何回のパラダイムシフトが起きるんだろうか。
楽しみで仕方がない。
年に1回くらい、マイクラをやりたくなって起動する。
そのたびに、新要素についていけなくて撤退する。
あと、 歳を重ねるごとにどんどん画面酔いするようになってきてる。
上述の送別会で酒を飲みすぎて、土曜日はずっとお腹が痛かった。
これも、年を重ねるごとにどんどん弱くなってる部分の一つ。
まだ若いけど、少年的な体力はもうない。かなしいね。