Outer Wilds 感想

Outer Wildsというゲームをやった。
あまりこういうイマドキのゲームはやらないので、思ったことや感想を書こうと思う。
毎週書いてる記録に書くと不意なネタバレが直撃する人もいると思うので、記事を分ける。
ネタバレについては何も考えずに書くので、未プレイの人・気にする人は読まないほうが良い。

わりと雑多なメモ書きというかんじ。

結論から言うと、体験としては非常に良かった。
後述する通りすべて自力で解けたわけではないし、後半は結構何も分からんくて攻略サイトを読んだりしながら自分で解法を追体験するようなプレイになっていた。
この行動はおそらく感動を半減させたと思うが、イマドキのゲームに慣れてない自分には十分な体験だったと思う。
良くも悪くも手に汗握るポイントの多く、総じて文字通り心が動かされるゲームだった。

事前知識

以下のことを事前に知った状態でプレイした。

  • ループものらしい
  • 宇宙ものらしい
  • 3D酔いするらしい
  • 操作が若干難しいらしい
  • 名作らしい

良かった点

エンディングまで見て、「世界がしっかり閉じている」点は非常に良かったと思う。
このゲームはあくまでもHearthianとNomaiが生きた世界であり、我々人間の常識を介してメタに推論しなければいけない物語の矛盾や飛躍がほとんど無かった。
つまり、僕ら人間にとって「おや?」と思うような不思議な現象は、必ずゲームの中でつじつまが合うように説明され、人間の常識でその不足を補う必要が無い。
これはピースがすべてそろったパズルを解いているような感覚でとても良かった。

世界が閉じているというのは、何もストーリーに限らない。
プレイ中に我に返るような白ける瞬間が全くなかったのも特筆すべき点だと思う。
微妙なゲームや小説にありがちな、作者の思惑やしたり顔が透けて見えるような表現が一切なかった。
この世界は本当にこの世界の秩序の中で動いていて、私はひとりのHearthianとして世界を探検しただけだ、という感覚を最後まで途切れることなく持ち続けられた。

ループものについて回る「なぜループするのか」が丁寧に作り込まれている点は称賛に値する。
しかも、その発動に驚くべき程の時差があり、この真実がじわじわと分かってくる面白さはなんとも筆舌に尽くしがたい。

音楽も良かった。
ループの最後に流れるメインテーマがプレイヤーに与える絶望と諦念はとても良いバランスだと思う。
これで終わりか、と思う残念な気持ちと、まあここまで神々しい現象に立ち会えるなら幸せか、という気持ちに毎回なれる。
物語のラストで例のアイテムを持ち逃げするときに、このメインテーマが流れるのが熱い。
これまで22分という時間が握っていた世界終焉へのトリガーを、今は自分が握っている、そういう予感を与えてくれる素敵な演出だった。

エンディングで、最後に生み出された新しい世界の種に、偶然スカウトを打ち込むという行動をとった。
このおかげで、ゲームの最後に表示されるイラストに変化が起きていた。
普通はやらない行動みたいで、ちょっと得した気になったのは有終の美という点で運が良かった。

その他、多くのレビューで書かれている良かった点は、すべて自分にとっても間違いなく良かった点として共有されているので、すべてを列挙する必要はない。

自分では気づけなかった(攻略を見た)ポイント

最初に書いた通り、このゲームをすべて自力でクリアすることはできなかった。
特に終盤はほとんど自力でクリアすることをあきらめていて、攻略サイトとゲーム内のテキストを照らし合わせて、「ああー、確かにそういう気付きができるな」と納得してから行動してみる、というアハ体験の外注プレイをしていた。
最初の20時間くらいは頑張って自分で探検したりしたんだけど、さすがにそれ以上同じ場所を行ったり来たりするのは精神的にもしんどかった。
もしあなたに100時間くらいの自由に使える時間と、いくつかの種類の恐怖(後述)に耐え続ける精神力があるなら、攻略を見ずに進めることをお勧めしたい。

以下、自分で思考することを放棄したポイント。

  • 量子試練の塔の「量子物質のイメージの観察」の「イメージ」が撮影された量子物質だと理解できなかった。これは日本語に引っ張られすぎたためで、英語でプレイしてたらたぶん躓かなかった。翌日とかにやればたぶん直ぐにひらめいたと思うけど、そこまで精神的にタフじゃなかったのでさっさとネタバレを見た。
  • 闇のイバラの内部探索(二つの探索ポイント双方)。後述する本能的恐怖心が、時間をかけてのトライアンドエラーを強く拒んだため、すぐに攻略を見た。
  • 量子の月で塔を北極に動かす方法(どの惑星で北極に動かすか)。これも量子の月の不気味さにあおられた恐怖心が長居を拒んだのでさっさと攻略を見た。
  • 電気びりびりを通り抜ける方法。これも恐怖心に負けた。
  • 高エネルギー研究所の入り方。もう探索が面倒になっていた。
  • 灰の双子星プロジェクトへの入り方。恐ろしいものは極力避けてたので、トライする気にもなっていなかった。
  • 特殊エンディングの数々。これらはすべてYoutubeで動画を見ることで回収した。もう面倒くさくなっていたのと、ほとんどが個人的な恐怖に打ち勝たねば達成できないエンディングだったからである。

自分向きではないなと思った点

面倒なこと、怖いことに打ち勝つ心の強さ(=ゲーム慣れ)が求められる作品だった。
まず、自分は生物として正しく面倒くさがりで怖がりである。
何度も同じことを繰り返したくないし、暗闇は怖いし、大きなものはすべて怖い。
そのため、このゲーム内にある多くの挫折ポイントから攻略を見ないと前に進めない状況に陥った。

一番大きな原因は恐怖心で、例えば太陽なき街のように暗い場所は怖いので長居したくない、海の中は暗いし巨大生物もいるから長居したくない、アンコウは大きすぎるので対峙したくない、といった挫折が攻略サイトへのエスケープにつながった。
それが良いか悪いかは判断できないし、形はどうであれエンディングまで楽しめたのでまあいいじゃないか、という気持ちではある。

面倒くさいなあという気持ちが挫折につながったのは二点。
ひとつは、Nomaiの記録をちゃんとメモに取っておらず(ロクにまじめに読みもせず!)、後になってしっかり事実関係を把握しないといけないじゃんと気付いたとき。
同じ場所にまた戻って記録を見るほどの忍耐強さはなかった。道も覚えてないし。
ふたつめは、成功チャンスがループ内に数回しかない試行が求められたとき。
これ、毎回タイミングを待ってやらないといけないのか?と思うと、それを自分でやるのはヤダなという気持ちが瞬時に沸いた。

以下はストーリーや設定について、まだ納得できていない些細な点。

  • ループを停止した状態で終わりを迎えても、それまでに収集した情報が航行記録に残る。これは設定的に良くないと思う。プレイ中、唯一なんでやねんと声が出た。
  • 「ループを止める」という決断を複数回下さねば、(多くの)主人公はラストエンディングにたどり着くことができない。ループを抜けたはずの私が、再び目を覚まさねばならないのは、いまいち腑に落ちない。「量子的」な振る舞いの一つだとして納得してもいいのだが、それで納得していいのだろうか、わからない。
  • Nomaiの残骸がきれいに残りすぎである。特に灰の双子星で倒れてるNomaiは、そんなところにあってそんなにきれいなわけがなかろう、と思ってしまった。ただ、これは我々の世界の常識に照らしての感想なので、そういうもんだと言われたらそうかもしれないと納得する範疇。
  • エンディングは何だったんだろう、夢だろうか。突然文学的な表現が始まったなという印象が拭えず、まだ点と点が独立して漂っている。つまりどういうことか、というのは理解できるのだが、なぜ彼らが一堂に会する必要があったのか、その夢を見る必要があったのか、ひとつもピンと来ていない。

総じて

体験として非常に良かった。
攻略を見ながらでも楽しめるストーリーの緻密さには、多くの人に評価されている理由が詰まっていると思う。
この手のゲームに慣れてる人であれば攻略を見ずにクリアできるだろうし、物語の規模も程よくコンパクトにまとまっていて素晴らしい。
年内にDLCが出るらしいので、そちらも挑戦してみようと思う。

Outer Wilds 感想」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 2021/08/02-08/08 | 熊日記

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